01.理想を生み出すという挑戦
MESSAGEでお伝えした通り、私が愛し、尊敬してやまない両親に共通するのは、いくつになっても挑戦し続け、したいことをあきらめずに楽しむ生き方です。人としてのあり方、女性としてのあり方を、両親から、言葉ではなく実際の姿で教わったことが、今の自分につながっていることを感じます。
女医仲間とともに実現した基礎化粧品の開発も、その一端です。自分が欲しいもの、大切な人に使ってほしいものを「生み出したい」そして「届けたい」。そんな気持ちを実現すること、 願いを自ら形にすること。それはまた新たな、大きなチャレンジでした。
そのためには、医師と患者という関係性のみで診察をするのではなく、医療以外の世界の価値観を知りたい。そのため、世の中の多くの人が生きるビジネスの世界を学ぶために大学院に通いました。多忙極まる産婦人科の当直の合間を縫って受講した週に2回の授業。厳しい毎日でしたが、とにかく新鮮でした。
こうして大学院で学び、それを成果に結びつけるために、かねてより思い描いていたものづくりに着手しました。最初はサプリメント。そこから1度目のスキンケア用品の開発にいたります。それらを愛用いただくことができ自信になりました。マーケティングや販売も含め、さまざまな社会勉強もできました。
02.本当に納得するためには
挑戦と冒険が必要
これらを糧にして「もっと納得するもの。さらにパワーアップしたものを絶対的につくりあげる」。そう決意して踏み出したのが、2度目の基礎化粧品の開発です。医療の視点でこだわる成分や品質。これらが優れていること、満足いただかなければならないことは当然です。でも同時に、マネジメントも大切なものなのだと、本気のものづくりを通して学んでいました。
品質とマネジメントの両輪を意識して動いていると、そこでまた思いもかけないような出会いが重なり、人の輪のおかげでクリアできる難関がたくさんありました。製造を安心しておまかせできる企業、販売のサポートやアドバイスをくださる専門家、ロゴやパッケージのデザインにも世界的に活躍するデザイナーさんの協力をいただけることになり、結果的にいろいろな人の想いが「エッセントゥーラ」という基礎化粧品に集約することになったと感じます。
03.医師としてのこだわり、
女性としての意義
女性にとっては外見が本人に与える影響も大切です。考え方や生き方は外見に出るからです。イキイキと人生を楽しんでいれば、表情は美しく、姿形も輝きを放ちます。そして、そういった本質的に健やかで美しい人は、まわりの人もハッピーにします。もちろん、歳を重ねればシワはできます。たるみもでるでしょう。けれど、ベースとなる素肌をしっかりケアすることで、自然なよい形のエイジングが叶うはずです。
今、世の中にはよいスキンケア用品、メイク用品、ヘルスケアの商品がいくらでもあります。けれど、その中で自分が一点のくもりなく納得できるものはどれなのか? 身近な存在である基礎化粧品ですから、洗面台など目のつくところにあっても自然で心地よいものであってほしい。成分を中核に、さまざまな要素から本当に納得できるものを生み出すことが、私にとってのものづくりの意義でした。
こだわりは書ききれないほどですが、大きなチャレンジとしては「香りをつけない」ことがあります。スキンケア用品やメイク用品にとって香りの要素はとても大きいもの。けれど開発スタートの段階で「不必要なものは極力添加しない」「人工香料を使わないという」モットーがありました。ならば香りがないまま勝負しようと。
04.成分に絶対の自信、
ローション、クリーム、
セラムの基礎3点
こうして試行錯誤の末に生み出すことができた基礎化粧品「エッセントゥーラ」は、ローションとクリーム、セラムという基本のスキンケア製品3点で構成されます。朝晩のお手入れをもっと心地よく。洗顔後のシンプルなケアで毎日、満足できる素肌をキープする。そのために、配合する成分、配合しない成分にこだわり抜きました。中でも特に重要な成分が2つ。「ピクノジェノール」と「フラーレン」です。
ピクノジェノールは、天然松の樹皮から抽出される成分です。強い日差しや海沿いの潮風にも負けずに成長する松の木からの自然の恵み。美白やアンチエイジングへの効能がエビデンスとして論文になっていて、フランスでは医薬品として使用されています。
フラーレンは強い抗酸化作用で知られる鉱物由来の美容・健康成分。ビタミンCよりも優れた働きをもち、その働きが長時間続くことが報告されています。原石は古くからヒーリングストーンとしてエイジングケアなどに用いられてきました。
この他にユビキノン(コエンザイムQ10)やレスベラトロール、茶カテキンなどの高濃度抗酸化成分に、4種のヒルアロン酸、19種のアミノ酸やセラミドといった保湿成分を、それぞれの製品に適した形で加えています。
同時に、ローション、クリーム、セラムのすべてから、パラペンや鉱物油、アルコール、合成着色料、合成香料といった、化粧品の成分ではおなじみの添加物を排除。肌への刺激を極力抑えることを重視しました。もちろん手にとったときの感覚、肌へのなじみ感やつけ心地のよさも大切にしています。
真によいものを、余計なものなしに、必要としている人に届ける。これはきっとどの分野にも共通するものづくりの基本ではないかと思います。今の自分のすべてをつぎ込んだ作品を世に出せること。何より自分や大切な人たちに使い続けてもらえること。それが大きな第一歩です。
いろいろな分野に飛び込み、たくさんの出会いを経てさまざまな経験をし、試行錯誤を繰り返しながら、それらすべてを積み重ねて築いていく。そんな自分の人生を映し出し、凝縮したようなものづくり。そこから仲間とともに形にした“製品”という“想い”を、今、語れることは大きな喜びです。